断片日記

断片と告知

王子飯

夕方、豊島屋で鶏のからあげを買い、すぐ目の前のひぐらし文庫さんに差し入れののち、肉の日高でチキンカツとささみチーズカツを買い、甲州屋酒店が開いてなかったのでポプラで酒を買い込み、雑司ヶ谷の王子宅へ行く。コンロにかかる鍋には王子作のトンポーロがぐつぐつと煮えうまそうな匂いを辺りにふりまいている。部屋の掃除をはじめた王子を尻目に缶ビールをあけ飲みはじめる。窓から見える廃校になった小学校の桜の葉が濃く目に映る。午後早い時間から気もそぞろ、誰よりも早く来て誰よりも早く飲みはじめるこの気分。
前回は女飯だったから今回は男飯でと告知する。王子はトンポーロと水菜のサラダ、退屈くんは大根しらたき豚肉の煮物、パロパロ向井は具なしカレー、瀬戸さんはジャンクなポテトサラダを披露し、羊三くんは大量のソーセージと温泉卵を差し入れてくれる。それをつまみに女たちが買ってきた酒を飲む。王子の炊いてくれた飯を椀に盛り、カレーをたっぷりとかける。温泉卵とチキンカツをのせスペシャルカレーにして食べる。鶏がらでダシをとり大量のたまねぎと3種類のルーを混ぜて作ったというカレーはフルーティーで美味しく、早稲田大学正門の古本市前日にわざわざ作ったというパロパロ向井の体に似合わない健気さがかわいらしい。はじめて食べた粒胡椒入りの煮物は、甘さの中にぴりりとした刺激があって酒が進むとお替りを繰り返せば、ムトーさんがタッパの半分以上食べた、と退屈くんに責められる。そろそろポテトサラダをと瀬戸さんが動きだし、何をするかと見ていれば、じゃがりこの中にお湯を入れ3分待ってかき回し、マヨネーズと粒胡椒を入れ、はいポテトサラダと差し出してくる。かりかりのじゃがりこの影も形もなく、ジャンクな作業の形跡もどこかへ消え、クリーミーなマッシュポテトの様相でなぜかうまい。ポテトサラダは1人にひとつ強制なのか、仕事帰りの誰かが来るたび、じゃがりこに湯を注ぎちゃぶ台の上にじゃがりこの容器が溢れていく。王子は常に台所と部屋を行き来し、誰かが来ればソーセージを茹で、肉に飽きたころ水菜のサラダを出してくれる。わめぞの男たちの料理上手のまめまめしさ。独身男が多いのはこれが理由か。最後に出てきた王子作のトンポーロは肉がほろほろと柔らかく、しかし前回のトンポーロのほうが美味かったと主張する私に、前回食べそこなった奴らはこれ以上何を望むのかと怒り、それでもやはりこれはブルペンで前回のが日本シリーズだったと思う。