断片日記

断片と告知

エイチビー番外地

HugeDomains.com - Shop for over 300,000 Premium Domains
雑談を記録したいんです、とある日橋本くんに言われ、その通りに酒を飲みながら雑談し、出来上がったものが「エイチビー番外地」です。曇天画、東京と田舎、銭湯、絵を描くこと、などをインタビューという形ではなく雑談として話しています。飲みの席での話し言葉は、乱雑で適当でときには脱線しますが、でもそんな場所だからこそ、照れずに気負わずに話せる何か、があるのかもしれません。
ただ、補足と訂正を少し。生まれてはじめて、にらにら、したのはユミエさんではなくユウコちゃんで、幼稚園と小学校が一緒の女の子でした。お姫さまやお姫さまのドレスを描くのがうまい子でした。彼女が描く作る着せ替え人形がかわいくて、羨ましくて、たまりませんでした。ユウコちゃんの家は池袋ジュンクの前にある交差点のそばの、明治通りから1本入った路地の奥にあるアパートでした。よく遊びに行っていたそのアパートもいまはなく、通っていた幼稚園も小学校もなくなりました。
はじめての仕事が集英社文庫の「白蓮れんれん」だったと言っていますが、その前年の2004年、HBギャラリーのファイルコンペで藤枝リュウジ賞をいただき、当時藤枝さんがADをされていた東急のPR誌「SALUS」の表紙に絵を描かせていただいたのが、本当の最初の仕事でした。真っ赤な夕焼けの、いわし雲の空の絵です。はじめて藤枝さんの事務所に行った帰り道、小田急線のフェンス越しから見た空が、こんな空でした。いま見ればどこか拙い絵ですが、これがはじまりで、これがこのときの精一杯でした。出来上がった「SALUS」はもちろん送ってもいただいたのですが、はじめての、しかもたくさんの人の目に触れる仕事がうれしくて、東急東横線の渋谷駅改札まで、配布されているところを見に行きました。電車に乗る人たち、駅を通り過ぎる人たちが、いわし雲の「SALUS」をラックから抜き、手に取り、鞄に入れ、また歩いて行きます。わたしも真似をして、何冊も、何冊も、持ち帰りました。幸せな初仕事でした。