実家に戻るOさんの代わりに、石神井公園近くのOさんの家に行き、夕方の数時間、飼い猫タンポポと過ごし飯を食わす、というのが、ここ数年のわたしの正月の過ごし方だ。
石神井公園駅から、行きの明るい時間は、石神井公園の中を抜けてOさんの家へ行く。元旦の午後。公園の池で子供たちが釣りをしている。公園の中にある酒も飯もある休憩所は、外の座敷席まで家族連れと熟年カップルで満員。いつかこの座敷で豚汁定食を食べようと思いながら、まだ実行していない。三宝池の枯れ木にとまる黒い細い鳥。見るといつでも日野日出志の漫画を思い出し、セツに通っていたころ、友人フジちゃんにひばりコミックスの「原色の孤島」を貸したまま返してもらっていないのを思い出し、同じく友人ハマーに「はいからさんが通る」と「無能の人」を貸したまま返してもらっていないのまで思い出す。
鍵をちゃらちゃら鳴らしながらOさんの家に近づくと、どこからともなくOさんの家の飼い猫、タンポポがやってくる。毎年正月の数日間しか会わないのに、律儀にこちらを見てにゃーと鳴き、足に体をすり寄せてくる。炬燵をつけて暖まる。炬燵布団に下半身を入れ、寝転がって漫画を読みだすと、背中にタンポポが乗ってくる。確かめるように前足でわたしの背中を踏んだあと、わかりましたと言うように、体をごろんと横たえる。こんな毎日が元日から4日まで続く。