断片日記

断片と告知

コロナの春 3月18日から3月24日

3月18日金曜日

鏡に映る顔が真っ赤でふくれている。昔働いていた本屋の客用のエレベーターにのっていると、2階で扉があき、見ると床にゴキブリホイホイが落ちておりそこからゴキブリがぶわーっと出てくる、など。寝ていても体のどこかが痛く、悪夢を見続ける。

雨。寒い。腕に違和感があるものの熱はさがった。トマト、ハムエッグ、納豆ご飯。宝田明の訃報。Sは往来座へ。仕事の絵。夜、家に寄り母が作った煮込みハンバーグをもらう。往来座へ。asさん、ru先輩。asさんに先日のドミューンの感想を言う。武満徹は敷居が高いと思われがちだけどそうじゃない、と言ってもらえたことなど。本搾り。ru先輩は水曜日に射った3回目のワクチンでまだ調子が悪くポカリスエットを飲んでいる。ローソン100で買い物。夕飯は、トマトセロリ、かぼちゃと舞茸を焼いたのものをそえた煮込みハンバーグ、nにもらった戸田久の冷麺の違う味のやつ。これはこれでうまいけど米内の冷麺がとても恋しい。ドラマ「フリーバック」シーズン2の続きを見はじめる。シーズン1から1年以上経っている設定で、いきなり鼻血を出している。S家泊。

東京都の感染者数、7825人。

 

3月19日土曜日

曇り。暑い。豚バラ大根玉ねぎのカレー、ルーはカレーの壺マイルド。SはTVerにあがっている「水曜日のダウンタウン」を見続け、なかなか仕事に行かず。Sは往来座へ。確定申告を出しに行こうと思うも土曜日だと気づく。近所のuを誘いu家の下でかつおみりんと黄金柑をおすそ分けしてから、散歩へ出かける。桜がまだほとんど咲いていない神田川沿いから細川庭園に出て園内を1周し、椿山荘の下から江戸川公園を抜け、江戸川橋の商店街の適当なところを右折して神楽坂の赤城神社の横に出る。かもめブックスに寄り、新潮社横を牛込の方へ歩き大久保通りを渡る。uが以前このあたりに来たときに見かけたという住宅街の謎の豚まん屋を探す。この辺だったと思うけど1本違う道かもしれない、という道を進むと、途中に地方小流通センターのビルがある。ちょうど雨が降ってきたので軒先を借りて休む。やっぱり1本あっちかも、という道まで行くと角に豚まん屋を見つける。道に面したショーケースにいろんな豚マンが並んでいる。蒸したてだというプレーンの豚まんを買って道で立ち食い。肉が味噌味っぽいけどうまい。大きさがおやつにちょうどいい。ひとつ248円。そこからお堀に向かって歩くと、右も左も大豪邸の町並みになる。左の和風豪邸の前には小屋が建ち警官が立っている。表札を見ると、大谷、とある。大谷なんて大谷くんしか思いあたらないねー、と言いつつ前を通り過ぎる。あとから地図を見ると、旧最高裁判所長官公邸(旧馬場家牛込邸)とある。豪邸沿いを歩くと十字路の坂に出、坂をおりると小さな築土神社に出る。神社の向かいには井戸もある。坂と井戸の近くに名前の由来の看板が立っているが、どちらもそんなよくあるようなことで今に残る名前になったのかと驚く。以前、日仏学園だった建物の名前がアンスティチュ・フランセ東京になっている。学生のころよくここに映画を観に来たな、眠い映画ばかりだった、あのころの自分に言ってあげたい、わかんないよね、わかんなくて大丈夫だよって、とぶつぶつ言っていると、眠かったよね、とやはり学生時代ここで映画を観ていたuは笑いながら、いまの子たちもそういう無理めな文化を頑張って観るとかあるのかねー、と。お堀沿いに出ると、向かいの東京理科大学の前に袴とスーツ姿の学生たちがたくさんいる。お堀のなかにあるカナルカフェで昔ミントが入った緑色のソーダを飲んだ、とu。そこからuが昔行ったカフェの話になるがほとんどの名前が思い出せず。パレフランスのオーバカナルとラフォーレ裏のフォブコープは思い出せたが、下北沢のフレンチトースト屋は名前が出ず。長野から東京に出てきて『オリーブ』に出ていたカフェに行くことがわたしの中二病だったのかもしれない、とu。新しくなったJR飯田橋の西口駅舎の2階のデッキでお堀を見ながら話す。雨がひどくなってきたので隣りのラムラのキャンドゥで傘を買い、有楽町線江戸川橋まで。行きに見た安い八百屋をのぞき、ふきのとうを2パック買う。uはクレソンと、向かいの肉屋で粗挽きのひき肉を買う。江戸川橋から護国寺東池袋と、高速の高架下を池袋まで歩く。西武でuがサブスクの花をもらい、ガーデンで買い物。ビール券があったので、缶ビールを4本買い、往来座へ帰る。Sとnと缶ビール飲む。夕飯は、トマト、ふきのとうの肉巻き、だいぶ前にuにもらったエビ麺。ふきのとうが青臭くてうまい。「フリーバック」の続き見る。綱渡りのようにひりひりした話が続く。どうしてここにというところに笑いを入れてくる。ツイン・ピークスを思い出す。S家泊。

東京都の感染者数、7444人。

 

3月20日日曜日

晴れ。暑い。ハムかぼちゃ玉ねぎのクリームパスタ。TVerでゴットタン、コンビ大喜利の続きと過去のゴットタンも見る。Sはここ数日、おじいちゃんにもらった腕時計を冷蔵庫の横の柱の釘に吊るし、朝と夜、時間がどれだけずれるかどうかを見ている。TOMONYという無骨な時計で、赤瀬川原平も持ってたやつ、なんかのエッセイで読んだ、とS。Sは往来座へ。うんこ臭いと思ったらSの赤い股引のうえに猫のうんこが転がっている。仕事の絵。絵を描くときに下に敷いてるシートを数年ぶりに交換。さっぱりする。いらない雑誌の整理もする。夜、パルコの世界堂で修正液を探すも求めているものがなく。三省堂で立ち読みしてから往来座へ。本搾り。nは今日は閉店後に飲みに行くので飲まないとのこと。大倉で買い物。夕飯は、かぼちゃ玉ねぎ味噌漬け鶏のトースター焼き、豚しゃぶおろし蕎麦。「フリーバック」シーズン2を最後まで。なんとも言えない切なさが漂う。見はじめたときはこんな気持ちになるとは思わなかった。S家泊。

東京都の感染者数、6502人。

 

3月21日月曜日

曇り。コンビニで買った素を使ったガパオ飯、目玉焼きのせ。TVer探偵ナイトスクープ、子どものころ赤いランドセルが欲しかったのに買ってもらえなかったという還暦の女性の回。悲しみが根深い。Sは台所でバリカンで頭を刈っている。これ昨日の夜思いついたんだ、と言いながら向かって右側の耳のうえの当たりだけ線一本分髪を残している。Sは往来座へ。仕事の絵。夜、往来座へ。Sは閉店後の店内で不忍ブックストレームの配信の準備をしている。nが買ってきたつまみを食べつつ本搾り飲みながら横で配信を見る。今日のゲストは古ツアさん。テーマは中央線にちなんだ作家や小説。Bスポは版元やシリーズのロゴマークを当てるもの。なんでも知っているsuさんや本にあれだけ詳しいアヤシゲが意外と知らないことに驚く。ファミマで買い物して帰る。夕飯は、トマトセロリ、ファミマの冷凍台湾まぜ麺と冷凍の白飯。Sはトマトセロリ、冷凍のつけ麺、残ったつけ汁に白飯を入れて食べている。食後に黄金柑。これうまいよねぇ、とS。S家泊。

東京都の感染者数、3855人。

 

3月22日火曜日

雪。寒い。鶏ひき肉玉ねぎパプリカのパスタ。本来の店番tは昨日射ったワクチンで体調が悪いらしく休み、かわりにSが1日店番をする。雪が降っているのを見、もう今日はやめようかな、こんな日誰も来ない、と1時過ぎてもぶつぶつぐずぐずしているので、早く行け、と叫ぶ。仕事の絵。夜、往来座へ。本搾り。久しぶりにNさん来たよ、とS。閉店後に、近くで飲んでたから、と常連のOくんも寄ってくれる。宮古島出身とのこと。大倉、ハナマサで買い物。夕飯は、豚つくね鍋、しめに雑炊。早々に寝る。Sは遅くまでパソコンをパチパチ叩いている。S家泊。

東京都の感染者数、3533人。

 

3月23日水曜日

曇り。小松菜肉うどん。tは今日も体調すぐれずに休み。Sはまたぐずぐずしてなかなか店に行かず。ほっといて絵を描いていると1時過ぎに、いってきまーす、とSの声。仕事の絵、進まず。諦めてTVerで「ミステリと言うなかれ」ジュート回の前編見る。なんだかなー、とやっぱり思う。やる気をなくしS家を出る。往来座に寄り、パスポートなどコピーしてから、池袋西口の豊島税務署へ。確定申告を提出。アルバイトと書かれた名札をした女性が自信なさげな手付きでハンコを押していく手元をじっと見る。向かいの公園の桜はまだほとんど咲いていない。山手線の目白沿いから高田馬場を抜け、線路沿いにそびえ立つ四角いでかいビル、新宿ガーデンタワー、の脇を抜ける。保善高校と戸山公園のあいだの道を新大久保方面へ行き、大久保通りを越えて歌舞伎町へ入る。大久保の路地は古いアパートが多く歩いていて楽しいが道は汚く、歌舞伎町の道も吸い殻とゴミだらけだが、明治通りに出ようと昔ながらのラブホテル街の路地に入ると道にチリひとつ落ちていない。清潔感が大事なのかもしれない。花園神社の前に出、末広亭あたりの飲み屋街を抜けて世界堂へ。修正液、筆、オイルパステル、鉛筆状の消しゴムを買う。修正液は漫勉で青池さんが使っていたようなやつで、便利そうだと真似をした。オイルパステルは、池袋の世界堂はいつ見てもあまり補充がされておらず、白く粉が吹いたようなパステルか、2色ある黒色がごっちゃになった置き方をしているがで悲しくなるが、本店に来るとびしーっときれいに並んでいる。帰りは明治通りを北上するが、飽きて諏訪通りを左折、インド料理屋の横の小道を入って行くと、諏訪の森、の立て看板。入って行くと神社裏の森というより小さな公園で、若い男女が抱き合っている。横目で見ながら公園を通り抜け、馬場のたんぽぽハウスに寄るがなにも買わず。腹が痛くなり早足で家に帰りうんこをしてから往来座へ。本搾り。時間がかかりそうなので先に帰る。10時過ぎ、S帰る。夕飯は、トマトアスパラ、ふきのとうベーコンのクリームパスタ。ふきのとう、うまい。「水曜日のダウンタウン」で関根勤の後継者の回を見る。面白い。S家泊。

東京都の感染者数、6430人。

 

3月24日木曜日

晴れ。ミートソースパスタ。TVerで「あちこちオードリー」のナイツの回を見る。ナイツとオードリーは同期、それぞれの苦労話など。Sは休日。Sにバリカンで髪の毛を切ってもらう。また下の部分がすっきりする。便所にいるとうぐいすの鳴き声が聞こえる。S家を出、家に寄ってから待ち合わせの往来座へ。uと池袋から丸ノ内線で大手町まで。地上に出、ビル変わったね、このあたりは再開発の地域だったからね、どこだかわかんないね、と言いながらピカピカのビル街を当てずっぽうに歩き、三菱一号館美術館へ。上野リチ展。入り口からチケット売り場、展示場と導線が難しい。平日でよかったね、休日だと混乱しそうだね、とu。入場券1900円。エレベーターで3階へ。鳥の頭がぴょーんとしていて楽しい。エビの柄も楽しい。なんの植物かわからなかったけどそら豆だったのか、とパネルを見ながらu。以前京都で上野リチと知らずにこのそら豆の柄の着物を買っていた、とu。3階2階となかなかの見応え。物販売り場で図録を買う。中庭で古い建物を背景にあちこちで写真撮影をしている。あっちにウェディングドレス、こっちにスーツの新郎、卒業式の袴の子たち。日本橋まで歩き、東西線で木場まで。ホームと改札の壁に貼られた地図がどれも北をうえにして描かれておらず混乱する。メトロはみんなこう、何度もだまされた、とu。地上出口に出、川を渡った道の裏手にある銭湯「ニュー松の湯」へ。マンションの1階にあるいまどきの銭湯。のれんをくぐると下足箱、左手の自動ドアが開くとソファとテレビのある小さなロビーとフロント。フロント右手が女湯の入り口。こじんまりした脱衣所。枕のようなふっくらしたクッションがのったベビーベットが2台分、洗い場の入り口の左横にある。洗い場。左右の壁にカラン、島カランが1列、正面向かって右手が泡風呂、左手がジェットの湯船がふたつ。湯船のうえの壁にはモザイクタイルでヤシの木のある海辺が描かれている。壁の途中に段差があり、ヤシの木がぐにゃっと曲がって見える。近くのもう一軒の銭湯が休みだからか、こじんまりした洗い場がなかなかの賑わい。フロントで銭湯遍路の判子をもらう。店主に、男湯のタイル絵はなんですか?と聞くと、同じだよ、ハワイ、とのこと。ハワイだったのか、とフロントにかかる小さな額を見るとそこにもハワイらしき絵が描かれている。裏道を歩いて東陽町の古本と肴マーブルへ。uははじめての来店。瓶ビール、白ワイン。盛り合わせを貝抜きで、と頼むと、野菜ばっかりになっちゃって、とマーブルさん。みんなうまいが特にフキがうまい。ラムの水餃子もうまい。しばらくすると満席になるが、みな立呑みでさらっと帰っていく。帰りにまた木場まで歩く。途中、しめに麺でもと見かけた担々麺屋に入る。汁なし担々麺を頼む。もっと混ぜたほうがいいですよ、と店主がuに声をかける。店を出、具の混ざってない白っぽいところを食べるのが好きなんだよ、とuが愚痴る。そういえば飲んでいても歩いていても、uはおっさんによく声をかけられる。横にいる背のでかい頭を刈り上げているわたしにはなにも言わないのに、うざいだろうなー、と思う。木場から東西線高田馬場まで。馬場から明治通りを歩いて雑司ヶ谷に帰る。ファミマでSの夕飯を買う。焼き鳥とチキンカレーを頼まれたがどちらも売り切れ。欧風チーズカレー、ホタテの醤油焼き、唐揚げを買って帰る。T先生のユーチューブを聞きながら寝る。S家泊。

東京都の感染者数、8875人。