断片日記

断片と告知

コロナの春 4月8日から4月14日

4月8日金曜日

晴れ。食堂でもらったキーマカレーTVer水曜日のダウンタウン、ハチ公を見た人がいるかの回。90歳以上の方たちで見た人たちが何人か、触ったことのある人がひとり出てくる。ハチ公は、渋谷駅前に出ていた焼き鳥屋台のおこぼれ目当てで通っていたと話す人が何人か。亡くなる1年前に銅像がたてられ、本物のハチ公が出演した映画「あるぷす大将」の映像が流れる。Sは往来座へ。「子ども会」の文章を送ったKさんから電話。Kさんは81年入学とのこと。ちょうどわたしが子ども会で遊んでもらっていた大学生のおねえさんそのものの世代。わたしが参加していた子ども会は知らないが、そのころ「駒場セツル」など他大学と組んで交流する子ども会がいくつかあったと教えてもらう。セツルメント、ということばをはじめて知った。ラフ描き。夜、池袋の無印にパンツを買いに行くが欲しい色がなくてやめる。三省堂で立ち読み。往来座へ。asさん、ru先輩、deさん。わたしの読書遍歴をru先輩に説明する。赤川次郎からはじまり、テレビの再放送で金田一天知茂を見て横溝正史に、その後中学高校時代の性欲と暴力衝動を受け止めてくれた西村寿行菊地秀行夢枕獏の角川講談祥伝社などのノベルズたちにいき、20代はじめに働いた新刊書店の経営者夫妻が本格ミステリー好きだったことにより島田荘司笠井潔綾辻行人京極夏彦と繋がっていく過程。ru先輩に十角館の殺人の犯人を覚えているかと聞かれ、覚えてないさっぱり忘れた、というと、あれを覚えてないの?衝撃の最後を?それはある意味幸せですよ、あの最後の1行をもう一回味わえるんだから、と言われる。ノベルズなどあのころを読み直したらどんな気持ちになるだろうか。最近、古本屋でノベルズ見なくなったねー、など。本搾り。夕飯は、トマトセロリ、食堂でもらった鶏つくね、けんちん蕎麦。寝ていると、風呂に入っていたSに起こされる。最近、風呂の排水が詰まり気味だったが完全に詰まり、廊下にまで水が溢れている。溢れた水をかき出しバケツリレー方式でベランダの排水溝に捨てる。S家泊。

東京都の感染者数、8112人。

 

4月9日土曜日

晴れ。風。Sが水道屋に電話。最短で修理は火曜日とのこと。コロナ禍で自宅で過ごす人が増え、水のトラブルも増えているとのこと。うな丼。KOさんが送ってくれた鰻の蒲焼をトースターで温めたもの。うまい。Sは往来座へ。ラフ描き。夕方、歩いて新宿の世界堂へ。ペン型のパステルを買う。上りのエスカレーターで前の人が降りる直前に紙をばらまき、慌てて一緒に拾う。帰り道、明治通りから日清横の文化センター通りに入り、道なりに斜めに北上。抜弁天の交差点を渡り、永福寺前の坂を降りていく。コインパーキングの向こう、白いマンションの上に「東宝湯」と書かれた四角く白い煙突が見える。大きな白いマンションの角に「東宝湯」とコインランドリーの看板。マンションの横をのぞくと駐車場の奥にまた「東宝湯」の看板が見える。銭湯の入り口は駐車場を突っ切った先の路地に面しており、路地は銭湯の前から階段状の坂道になりずっと上までのびている。銭湯「東宝湯」。マンションの1階にある銭湯、入り口右手にコインランドリーとジュースの自販機が並ぶ。入り口は自動ドア、正面にフロント、右手に女湯の下足箱と入り口、左手に男湯の下足箱と入り口がある。下足箱の木札が横に入れる形式で珍しい。脱衣場。こじんまりとシンプルで、真ん中にゴザ状の腰掛け、壁に沿ってロッカー、血圧測定器、体重計、おかま型ドライヤー、などが散らばっている。男湯との境の壁の上に薄型テレビがのり、夕方のニュースを流している。洗い場。左右の壁にカラン、島カランが2列。奥の壁の右手から、小さめの湯船で備長炭の無色透明の湯、左手の大きな湯船にブルーハワイのような青い湯が入っている。ペパーミントの香り、と張り紙。大きな湯船は向かって右手前から円筒形のボディマッサージ、大きな泡が吹き出ているミクロバス、スーパージェットと泡風呂と並んでいる。壁にはペンキ絵などなく、白、クリーム色、ベージュのタイルやなにかが貼られ落ち着いた雰囲気。壁や天井の明かりカバーが丸みを帯びた長方形でかわいらしい。脱衣所も洗い場もこじんまりしているが、常に客が行き来し、若い人たちも多く、脱衣場の床を赤ちゃんがハイハイしている。フロントの女将さんに銭湯遍路の判子をもらう。前はあっちに入り口があったのよ、ほら向こうの坂道のほう。昔はこのあたりは東大久保1丁目2丁目って言って、ここは東の宝だって言うの、自分ではフロントに全然入んないんだけど。この辺で一番古いんじゃないかしら、いまで70何年目って。このマンションも駐車場挟んだ向こうのマンションもここのなんだけど、あっちのマンションには犬猫病院が入ってるでしょ、あれが次男、でここが長男。フロントに入るのはお嫁さんたちなんですか?と聞くと、違うわよ、母親と孫、とのこと。その間も若い男性客が何人も男湯ののれんをくぐっていく。外に出、目の前の階段状の坂を上までのぼってみる。絵になる坂で、よく撮影が行われる、と女将さんが言っていた。見覚えのある地形で、もしかしたら「北の国から」で使われなかったかと聞くと、うーんどうだったかしら、と煮えきらない返事。銭湯の上には新しめのコインパーキングがあり、残された塀には「清澄荘」の表札が残る。坂の上には名前と由来の書かれた柱が建っている。梯子坂。坂道が急で、あたかも梯子をのぼるようであったため、とのこと。坂の上から夜景を眺めると、遠くに高層ビルの明かりが見え、視線をおろすと坂の下に銭湯の明かりが見える。マンションの正面のほうの坂道をくだると久左衛門坂と書かれた柱。突き当りまで降りて右折。道なりに坂をのぼっていくと戸山団地の前に出る。団地沿いを北上し、マクドナルドのところで明治通りに出、雑司ヶ谷に帰る。往来座へ。本搾り。nは明日、パンダ好きのYさんと上野動物園に双子のパンダを見に行くそうで、でも予約が9時半なのー、と朝早いことを心配している。往来座前のバス停の名前がいつの間にか「南池袋一丁目」になっている。前は「東京音大前」だった気がするが。外に見に行ったSが暗い顔で戻って来、ポストにテナント更新の手紙が入ってい、とうなだれている。更新料、高い。いつまでに払わなきゃいけないのかな、とnと相談している。ハナマサで買い物。夕飯は、豚しゃぶ小松菜豆もやし鍋、しめにラーメンを一玉。食後に八朔。「東宝湯」前の階段と並びの塀が「北の国から」に出ていた説が諦めきれず、S家に帰り「北の国から」のDVDを見直すと、塀だけ残るコインパーキングは、五郎の妻・令子が暮らすアパートのあった場所だった。見たのは令子の葬式のシーンで、そのまま最終回まで見直してSと泣く。寝る前に風呂場を見に行くと、また水が廊下にまで溢れている。Sとバケツリレーで水を外に捨てる。風呂まわりがどぶの匂いがして臭い。部屋に戻ると猫のうんこ臭い。Sと探すと、クローゼットの戸袋の中に長い一本グソが連結された列車のように並んでいる。S家泊。

東京都の感染者数、8102人。

 

4月10日日曜日

晴れ。暑い。炒り卵と食堂でもらった鶏そぼろで、そぼろご飯。風呂まわりは相変わらずどぶ臭く、水は抜けていない。Sは往来座へ。夕方、Sから電話。すごいことが起こった、と言うので、佐々木朗希?と聞き返すと、そう、完全試合、19奪三振、としゃべり出すので、仕事はしてんの?と聞くと、あ、これからヒーローインタビューだから、と電話が切れる。金沢のKさんから電話。仕事の話が終わると、ここからはいいお知らせです、全国カタログ展で『龍潭譚』が銀賞を取りました!と嬉しそうなKさん。「全国カタログ展は、1957年(昭和32年)に「世界パンフレット展」を開いたのをきっかけに、1959年(昭和34年)に「東京国際見本市カタログ展」として始まりました。」「本展はこうした優秀なカタログを顕彰し、広く展示・公開することで、カタログという情報媒体の力や魅力を広く知っていただくとともに、発行会社や制作に関わった各社の認知度向上などにも寄与しています。とサイトにある。『龍潭譚』は第63回全国カタログ展の審査員特別賞(左合ひとみ賞)の銀賞。印刷会社さんに出してもいいですかー?って聞かれていいですよって言ったもののまさか賞がもらえるなんて、宇都宮美術館と南天子画廊の図録に挟まれて誰も知らない龜鳴屋の本があるなんて、とKさん。そういえばこないだ石川のデザイン賞もとったでしょ、と言うと、誰に聞いたの?ドレスコードはないって言われたんだけどドレスコードってなんだよって、でも以前の写真を見てみるとみんなスーツ着てるから、青山に買いに行こうかと思ってたら30年前のスーツが出てきて、これ着るのこれが最後だろうなぁ。ずーっとやってるといいことあるねぇ、よかった、よかった、と言い合う。Kさんは5月に取材で東京に来るそう。夜、往来座へ。缶ビールロング缶と本搾り。saさんとSが佐々木朗希をすごいすごいと言い合っている。saさんが飲み屋で飛び蹴りした話など。夕飯は、Sさんにもらったピーマンの肉詰め、ほうれん草ベーコンクリームパスタ。M家泊。

東京都の感染者数、8026人。

第63回 全国カタログ展の受賞作品 | 日本印刷産業連合会

 

4月11日月曜日

晴れ。暑い。納豆ご飯。今年初、Tシャツとサンダルで食堂アルバイトへ。終えて、家に寄り仕事で使う資料の冊子を探してから、S家へ。ラフ描き。難しくてくじけそう。夜、往来座へ。asさん。本搾り。夕飯は、トマト、母がくれたハンバーグをトースターで焼いたもの、ほうれん草蕎麦。映画「続・夕陽のガンマン」に出てくるロケ地を探して復活させるドキュメンタリー映画「サッドヒルを掘り返せ」を途中まで観る。水道屋は明日の2時ごろ来るとのこと。M家泊。

東京都の感染者数、4562人。

 

4月12日火曜日

晴れ。暑い。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。思ったよりも暇。あまった唐揚げもらう。終えてS家へ。玄関の戸を開けるとパンツ一丁のSが立っている。お風呂洗おうと思って、とS。水道屋は帰ったあとで、水の詰まり直っている。ラフ描き。夜、サンシャイン60くまざわ書店へ。『かげきしょうじょ!!』12巻買う。マルエツで買い物。本搾り飲みながら帰る。夕飯は、トマトセロリ、食堂でもらった唐揚げにネギソース、みょうがおろし蕎麦。「サッドヒルを掘り返せ」を最後まで観る。なんでメタリカのボーカルの人が出てくるのかわからなかったが、映画の最後にメタリカのライブで必ず『続・夕陽のガンマン』の主題歌がかけられる、と説明がある。「続・夕陽のガンマン」のドキュメンタリーなのに、メタリカの音楽で映画が終わる。M家泊。

東京都の感染者数、6922人。

 

4月13日水曜日

晴れ。暑い。納豆ご飯。ロシアとウクライナの戦争が終わらない。民間人への略奪、強姦、殺人を「戦争犯罪」とニュースで言うが、戦争自体が犯罪なのでは、軍人同士が殺しあっても殺人は殺人なのに、と不思議に思う。食堂アルバイトへ。終えて、S家へ。Sは休日、ブログを書くか、ユーチューブを見るかしている。ラフ描き。ラフ進まず。やっぱり現地で見てみたい気持ちが抑えられず、ネットで格安ツアーを調べ申し込む。夕方、また戦争のニュース。いまロシアがしているようなことをアジアの各地で日本もしていたのかと思うと絶望的な気持ちになる。ほんとひどい、とぶつぶつ言っていると、盧溝橋事件とかひどいよ、いま読んでるけど、とSが読みかけの文庫を見せてくる。夜、Sと散歩へ。マルエツで本搾りを買い飲みつつ、イケサンパークへ。公園の横に建てている大学の校舎が出来つつある。東池袋マルエツで買い物。夕飯は、トマトセロリ、食堂でもらった鶏つくね、Sさんにもらったピーマンの肉詰め、マルエツのパック寿司。雑司ヶ谷が舞台になっている映画「珈琲時光」を観る。主人公は旧高田小そばのアパートに住み、鬼子母神前停留所から大塚まで都電に乗るシーンが出てくる。大塚から山手線に乗り換え秋葉原に出、そこから総武線お茶の水に出る、という雑司ヶ谷民があまり使わないルートで神保町の古本屋街に行く。お茶の水に行くなら池袋から丸ノ内線に乗っちゃうよね、とS。でも、都電と、秋葉原駅と、神田川のうえを交差して走っていくお茶の水界隈の線路とか、撮りたかった絵があるなら仕方がないかと思う。昔の鬼子母神停留所と焼鳥の豊島屋が出てくるが、都電沿いはすでに工事がはじまっていて更地になっているところも多い。町中や車内はおそらくゲリラ撮影で、町行く人たちが浅野忠信の顔を見て振り返ったりしている。役者たちはカメラに背を向け、もしくは画面から消え、平坦でもない道を、ものすごく平坦な道をただ歩いているかのように撮られている。M家泊。

東京都の感染者数、8253人。

 

4月14日木曜日

雨。寒い。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。終えて、S家へ。旅行会社へ連絡、手配完了する。ラフ描き。夜、パルコの世界堂へ。ラフが描けなさすぎていっそのこと立体で作れば描けるのではと材料を買う。画材を変えたら描けるのではと西武の文房堂でペンも買う。三省堂書店で雑誌ポパイを買う。コロナ禍になってから買いはじめたポパイ5月号東京特集、毎年楽しみ。往来座へ。saさん、u、n、Sと本搾り飲みつつ、ビックリガードのところの焼肉ふたごへ。外の看板に、約3分30秒で客席全体の空気が入れ替わります、と書いてある。奥のテーブルふたつに別れて座る。生ビール、マッコリ、ホルモンいろいろ、カルビ、旨塩キャベツ、トマト、チヂミ、焼肉ご飯、冷麺。saさんが今日観てきた鏑木清方展の話、確定申告の話、など。若い店員が肉を焼いてくれ、ただ待っているだけで、皿に食べ頃の肉を置いてくれる。いたれりつくせりで、ホストクラブみたいと言い合う。肉うまい。店の前でnと別れ、みんなで雑司ヶ谷方面に帰る。飲みすぎて早々に寝る。S家泊。

東京都の感染者数、8540人。