断片日記

断片と告知

柳さんち

駒場東大の日本民藝館で「特別展インド・大地の布」を見る。インドの布は染めも織りもすばらしいけれど、一番心ひかれたのはベンガルバングラディッシュの刺繍の施された木綿の布たち。子供のような絵の刺繍が布いっぱいに散らばっている。とてもかわいらしい。
今日の民藝館はとても混んでいる。土曜だからという理由もあるけれど、もう一つ、いつも公開されていない西館が特別公開されているのだ。民藝館の前の道路を挟んで向かい側、いつも閉ざされているそこ西館は、旧柳宗悦邸なのだ。靴を脱いで中に入る。まず2階から。階段を上がると小さな和室、大きな和室、そして書庫。書庫の中には入ることができる。棚の本を手にとることは出来ないけれど、かなり接近して見ることはできる。並べ方がバラバラだ。美術も文芸も人文もごちゃごちゃに入っている。書庫を出ると、いくつかの和室、ベッドのような高床と呼び鈴、へんてこな押入れ、竹製の階段の手すり、そして1階のお手伝いさんの部屋と数字ボタン、客間、食事室、どれも考えられた美しい作り。天井が高い。窓の外は枯れた庭。冬は寒いだろうな。
原宿のペーターズギャラリーで「旅先からの手紙」展を見る。グループ展だけれど、かなり見ごたえがあった。岩波の草枕の絵、いい。消された文字も、いい。小さな字でみっちり書かれた文面も、いい。やはり手紙は手書きに限る。