断片日記

断片と告知

モモテツ

国立劇場で6月歌舞伎鑑賞教室「神霊矢口渡」を見る。しんれいやぐちのわたし、と読む。作者は福内鬼外。福は内、鬼は外、からとった平賀源内の筆名。時は14世紀、新田義峰と恋人うてなが江戸を目指す途中、多摩川の矢口の渡しで一晩の宿を所望したのが、兄を殺した渡し守・頓兵衛の家だったからさぁ大変、と解説に書かれていて、そうかこれは復讐憚なのね、と思って見たらば全く違った。主役は、頓兵衛の娘・お舟。新田義峰に一目惚れしてしまい、金のために新田義峰を殺そうとする父親・頓兵衛と殺し合うはめになるというお話。純情可憐なおぼこ娘の割に、新田義峰に大胆にアピールする様は、本当にあんたおぼこ娘か、と言いたくなるけれど、なかなか悲しい恋のお話である。南無三。頓兵衛独特の歩き方「蜘蛛手蛸足」がおもしろく、その真似をしながら永田町を歩く。捕まらなくて良かった。
雨で体が冷えたので、銭湯に行こうと思う。飯田橋の銭湯「熱海湯」へ行く。神楽坂の坂を1本左に入った、小さな飲食店が並ぶ路地にある。小さくて古い、昔ながらの銭湯。大きさも雰囲気も目白台の「月の湯」に似ている。真中に1つだけある島カランは、鏡もなくシャワーもなく仕切りも無い、シンプルなもの。ペンキ絵は、男湯と女湯をまたぐようにしてある富士山の絵で、雪をかぶった辺りがほんのり朱色に染まり、朝焼けなのか夕焼けなのかわからないけれど、今まで見た富士山の中で1番色っぽい。驚いたのは風呂桶で、黄色いのでケロリンかしらと底を見れば、「モモテツ」の文字。そしてその下にはHUDSONの文字。モモテツって、ゲームソフトの桃太郎電鉄のこと?風呂屋で風呂桶でゲームソフトの販促をして何か意味があるのだろうか。でも、ちょっと・・・。いやかなり・・・。羨ましい・・・。