断片日記

断片と告知

神様

ほとんど毎日会う人がいる。ある日は、アトリエそばの古い銭湯の壁に寄りかかりながらしゃがんでいる。ある日は、アトリエそばの緑道の縁石に腰掛けている。冬も夏も、同じ服を着ている。何十年も洗っていないように見えるその服は、元の色がよくわからないほど汚れている。髪の先から靴の先までの全身、煮染めたように同じ色をしている。唐突に、座り崩れていることもある。地面に放り出されたように、崩れ落ちたように足を投げ出して、道の真ん中にいることがある。いつも持っている鞄が1つと、ビニ傘1つが、その体の前に転がっている。話している姿を見たことがない。何かものを食べている姿も見たことがない。そんなに年寄りでもないが、そんなに若くもない。何を考えているのかわからないその目は、いつもどこか前方の宙を見ている。