断片日記

断片と告知

月の湯でした!

朝7時半、起きると外はどうやら雨降り。曇りの予報のはずだったのにと、あたらない天気予報を呪う。それでも仕度をして外に出てみれば、なんとなく西の空は明るく、10時までにはなんとかなるかも、と希望がわく。かえる食堂で、シフォンケーキと胡麻のタフィーを受け取り、要町から有楽町線に乗り護国寺まで。そこから月の湯まで歩く間、雨はやんだかと思うとまた降りだし、降りだしたかと思うとまたやみ。なんともはっきりしない天気。9時半、月の湯に着くと、すでに古書ほうろうさん、乙女湯さんが、男湯の喫茶スペースで仕度をしている。遅れてはならじと、かえる食堂のケーキを並べ、タフィーを並べ、たらいに氷をはり缶ビールとチュウハイを冷やす。そして、10時の開店を迎える。
雨のせいだろう、開店直後のお客さんが少ない。前回の外に長蛇の列ができていたのと比べると、打って変わったこの静けさ。それでも雨の中、熱心な古本ファン、月の湯ファンが来てくれることのうれしさよ。雨で人が少ないので、みさなん、ゆっくりじっくり本を見て選んでいる。前回のまともに本が見られなかった状態を考えると、これはこれでいいのかもしれない、とちょっと思ったり思わなかったり。そして、昼過ぎに、雨やむ。
雨がやんでからは、人が増えはじめ、気づけば女湯の古本スペースにはみっちりぎっちりお客さんがいたりする。喫茶スペースはどうかというと、まずかえる食堂のシフォンケーキは午前中に秒殺で、タフィーもまったりと売れていき、そして蒸し暑いせいか缶ビールが良く売れる。午前中に来たナンダロウさんも一杯やって帰っていったし、午後に来た岡崎さん、エンテツさんは座布団に座り込み、周りを書店ギャルズに囲まれて、ここだけ銭湯の洗い場とは思えない宴会ムードが漂う。そんな人たちを前にして、飲まないのもバカバカしいので、朝さん差し入れの缶ビールを飲みつつ、売り子をやる。
湯船には、ピッポさん制作の「ウミウシ釣りコーナー」が出来ている。水のない浴槽の中に、色とりどりの磁石内蔵の紙製ウミウシが散らばり、それを磁石の釣り針がついた竿で吊り上げるのだ。ピッポさんや、藤井書店のリボー君が、恐る恐る近づいてくる子どもたちを手招きし、その手に竿を握らせて釣らせている様は、縁日のテキヤのねーさんにーさんのようで、なかなか絵になり面白い。人がやっているのを見ると、自分もその気になってしまうのが悪い癖で、しかもリボー君に、5分で全部釣ったら記録更新です、と言われ、今までにない真剣さで競技に望み、5分以内に全てのウミウシを釣り上げ、最後に海草まで釣り上げて、この日、ウミウシ釣り世界記録保持者となる。どこかでこの特技を生かせる日は来るのだろうか。
6時半、古本市が終わる。喫茶を片付け、古本を梱包し、車に運んでいく。洗い場も、脱衣所も掃除をして、いつもの月の湯に戻っていく。全てが終わり、普段の月の湯に戻った姿を見ると、さっきまでここに古本が並んでいたのが嘘のように思えてくる。
打ち上げ参加者を引き連れて、夜の雑司ヶ谷を歩く。月の湯のある目白台から雑司ヶ谷を経由して、池袋駅近くの居酒屋まで。20分くらいか。前回も同じ道を歩いたが、この終わった後の打ち上げ会場まで行く散歩が嫌いじゃない。少しずつ、イベントの熱気が冷めていき、日常に帰っていく感じがするからだ。そして、歩いたほうが生ビールがうまいからだ。閉店まで飲んだくれ、恒例の売上発表に泣き笑いし、楽しかったね、と今日が終わっていく。
月の湯にご来場のみなさま、雨の中、そして晴れてからも、どうもありがとうございました。「死闘篇」を買ってくださったみなさま、どうもありがとうございました。次回、11月の「外市」も、どうぞよろしくお願いします。