断片日記

断片と告知

幸せな匂い

アトリエからの帰り道の、家の近所の午後七時過ぎ。いい匂いのする家がある。台所らしき場所にある小さな窓から、夕餉の匂いが漂ってくる。ある日は煮付け、ある日はカレー、ある日は焼き魚の匂い。この匂いは、幸福の匂い。夕餉の時間、家々の小さな窓の下を通るたびに、私は幸福のお裾分けをもらっている。