断片日記

断片と告知

九九

図書館で借りた重たい文庫を読みながら、寝返りをうつ。上にすると重く、下にすると両腕が痺れ、右下にすると右腕が痺れ、左下にすると左腕が痺れる。腕の痺れに負けて、栞を挟んで本を置く。電気を消して布団の中で目をつぶる。アクビばかり口から出る。寝てはいけない状況の中でアクビが出るのはかまわないが、いつ寝ても大丈夫なこの状況の中でアクビばかり出るのは納得がいかない。納得がいかないが、いっこうに眠くならないので、「九九」について考える。「九九」の鬼門は七の段からで、なぜかと言えば、「シチ」とか「ハチ」とかが発音しにくいからだ。もっと言い易くしてくれればいいのに、と考えているうちにいつか寝ている。