断片日記

断片と告知

黄桜

いつも行くラーメン屋。よく会う人たちが何人かいる。1人はTさん。この人は本名もどこに住んでいるかも知っている。会えばいつも、こんばんは、と笑いながら挨拶し、飲みながら会話もする。それ以外の常連さんは、顔は知っているが、本名も、どこの誰なのかもよく解らない。それでも、挨拶はするし、何かの拍子に共通の話題が出て話し込むこともある。名前がないのは不便なので、勝手にあだ名をつけている。いつもカウンターで1人、文庫本片手に飲んでいる猪瀬直樹のそっくりさん「イノセ」。上島竜兵と安岡力也を足して2で割ったような顔をしている「リキヤ」。実家が広島だという「ヒロシマ」。こういう先生って学校に1人はいたよね、教科は地理とか世界史だよねの「セカイシ」。チャーメンが食べたいからチャーメン作ってよ、とメニューにないものを注文してママさんを困らせ、たまたま見ていたPR誌「雲のうえ」に福岡かどこかの食堂で出しているチャーメンの写真が載っていたので、チャーメンってこれのことですか、と聞いたらそれと俺の食いたいチャーメンは違うと言い張った「チャーメン」。このように「太陽に吠えろ」ばりのあだ名をつけてこっそり楽しんでいるわけですが、たぶん私にも勝手なあだ名がつけられているはずで、それが「カッパ」とかだったら悲しいなぁと思うわけです。せめてもうちょっと捻って「キザクラ」だったらうれしいですね。