断片日記

断片と告知

こうもり

雑誌「野生時代」5月号、古処誠二さんの読切小説「病兵の宿」の挿画を描きました。本屋さんでぜひどうぞ。
目白のブックギャラリーポポタムへ。森謙次さんの個展「根付でポン!」を見る。森謙次さんは、珊瑚や動物の角を使って根付や帯留め簪などを作る職人さんだ。そちらが本職なのだが、「詩のボクシング」の高知県大会で優勝したりもしている異色の人だ。ギャラリーの壁に、小さな木製の棚が作られ、そこに小さな根付が展示されている。美術館や骨董屋でガラスケース越しに見たことはあるが、ここでは小さな作品を手に取って見ることができる。同じくらいの大きさなのに、材料によって重さが違う。当たり前のことだが、手に取らなければ解らないことで、1つ1つ手に取った瞬間の感覚の戸惑いが楽しい。作品は、微に入り細に入り。動物や爬虫類や虫の造形が多いが、どの生き物も表情がいい。何かを見て彫るんですか。見るときと見ないときがあります、彫り慣れているものは見ないです。どの作品もいちいち凄いが、桃珊瑚で出来た蝙蝠の根付と、角で出来た蝙蝠の簪、が特に気に入る。根付を知らない人にもぜひ見て欲しい、着物好きの人にもぜひ見て欲しい、必見の展示だと思う。4月15日(水)は18時からオープニングパーティーがあり、高知からカツオのタタキも届くそうです。高知の根付職人さんと話す機会などそうありません。お時間ある方はパーティにもぜひ。
ブックギャラリーポポタム
夜は、高田馬場で王子を囲んで飲む「王子会」。参加者は、王子、古書現世のパロパロ向井、豆惚舎の山本君、と私の4人。台湾料理屋で7時過ぎから12時近くまで飲む。王子も山本君も、若くて真面目で真っ直ぐで、見ているとまぶしくて目が眩む。いつ降りだしたのか、土砂降りの雨の中を歩いて帰る。傘が役に立たないような大雨。諦めてしまえば、濡れることが苦痛から快楽に変わっていく。ゴウゴウと流れる神田川面影橋の上から眺める。大きな戸板が流されていくのをじっと見る。