断片日記

断片と告知

麦藁帽子

歩いていたら大型スーパーがあって、店頭のワゴンで麦藁帽子を売っていた。釣りをするおじさんがかぶるような、首のところに紐があって風が吹いても飛ばないような、そんな麦藁帽子が248円で売っていた。これからの、日焼けの気になる季節の散歩のためにと、ひとつ求めてみた。かぶっていかれますか、レジのお姉さんにそう聞かれて、はい、と答える。値札を切ってもらい、その場で帽子を頭にのせる。首の紐をきゅっと絞る。Tシャツ、ジーパン、スニーカー、そして頭の上には「釣りキチ三平」のような帽子。お店の鏡に映る姿に違和感は感じないが、都会に住む成人女性がする格好でもない。が、思い切って明治通りを歩いてみる。誰もこちらを見ないのは、違和感がないからか、ものすごく違和感があるからか。風が吹いたときに首がぎゅっと絞まるのは難儀だが、それ以外は快適だ。これで日なたの散歩も怖くない。よその町には行けないが、この夏、雑司ヶ谷はこれで歩こうと思う。