断片日記

断片と告知

一発屋

歌とか小説とか絵とかの世界で一作品だけ当てて消えていく人たちのことを、一発屋、などと言いますが、この呼び方が嫌いです。一発でも当てたすごい人という意味ではなく、一発しか当たらなかった才能の乏しい人、という意味で使われるからです。デビューしてから死ぬまで一定基準以上の作品を発表し続ける人というのも中にはいますが、どちらかといえばそんな人たちのほうが異常であり少数派なのです。時代を作るのはそういう人たちの影に隠れて消えていった一発屋と呼ばれる大多数の人たちのほうではないのかと思うわけです。綺羅星のように現れては消えていく人たちの一発一発がなかったら、あの歌も、この作品も、この世にはなかったわけで。そもそも一発でも、歴史に残るもの、その時代の人たちの記憶に残るものが作れたらそれは凄いことなわけで。そんな人たちを一発屋などと軽蔑して呼ぶのではなく、もっと感謝の気持ちを込めた名称で呼びたい、と思う今日この頃です。