読みたい本が特にない日は、積んである本の中から適当な本を引っ張り出し、布団に寝転がりながらぱらぱらとめくる。読んだことのある本ははじめからではなく、ひらいたページから読みはじめる。「富士日記」を読んでいると腹が減る。夕飯で食べたコロッケが消化をはじめ空いた胃の隙間に武田家の献立が入り込む。
朝 トースト。
あっさり書かれた献立は寂しい。もっと念入りに、おかずの品数はこんなにと思うほど多く、書かれていないとつまらない。
朝 おかゆ、茄子にんにく炒め、さつまあげ、大根おろし、味噌汁。
昼 ごはん、ロースハム1枚ずつ、やきのり、卵。
夜 おにぎり、コンビーフ(花)、冷やっこ、ババロア。
もっともっと。目は献立の部分だけを執拗に追い、ページをめくる手が早くなる。
トースト、とりのスープ、じゃがいもとベーコンのバター炒め、ごはん、サバ干物、たらこ、納豆、のりまき(かつぶし入り)、卵やき、大根おろし、ホットケーキ、チキンライス、かぼちゃ煮たの、野菜塩もみ、さわら味噌漬、ふかしパン。
コロッケはとっくに消化され、夜中にすきっ腹が、ぐー、と鳴る。明日起きたら、何を作って食べようか。