断片日記

断片と告知

ナマステ

山手線で原宿へ。代々木公園でおこなわれているイベント「ナマステ・インディア2009」に行く。原宿駅に併設している小さなコンビニで缶ビールを買い、飲みながら公園まで歩いて行く。改札を出たあたりから聞こえていた虫の音が、公園に近づくにつれ、徐々に大きくなっていく。何万匹いるのか、1匹1匹の音はもはや聞き分けられず、ただただ大きなひとつ音の塊になり、迫ってくる。いつもなら、歩いている途中で聞こえてくるライブの音も、虫の音にかき消されて、よく聞こえない。
ナマステ・インディアは、代々木公園の中でも、野外音楽堂のある広場でおこなわれている。音楽堂の舞台では、タブラとシタールの演奏、それにあわせて踊るサリーを着た美しい女性たち、を見ることができる。音楽堂の前の広場には、インド観光、インド雑貨、洋服、書籍、のテントが並び、一番奥にはインド料理店のテントが並ぶ。テーブルと椅子もあり、買ってきた料理をここで食べることも出来る。1枚の皿に、カレーが2種類、サフランライス、ナン、サモサ、タンドリーチキン、というインドらしい料理を全部のっけたようなセットを選び、空いていた公園のベンチに座り、買ってきたワインとともに飲み食べる。
1年に1度のナマステ・インディアで、久しぶりに同郷の人間に会い、肩を抱き、また叩きして、喜ぶインド人の姿を見るのが楽しみのひとつだったが、今年はそれが少ないように感じる。カレーもナンもチキンも相変わらずおいしく、夜の公園に響くタブラとシタールの音も心地いいのに、頭に浮かぶのは、不況、という文字で、寂しさを打ち消すようにワインを飲む。