断片日記

断片と告知

瀬戸さん

瀬戸さんを知らない人に、古書往来座の瀬戸さんってどんな人ですか、と問われれば、まだ30代前半の、古本屋の店主で、興福寺の阿修羅像にも似たいい男です、と答えます。ですがその短い言葉だけで語れるほど、瀬戸さんは解りやすい男ではありません。郵便配達をしながら小石やガラスの破片を拾い集め宮殿を造ってしまったフェルディナン・シュヴァル、病院の清掃人として働きながら少女の絵を描き続けたヘンリー・ダーガー、彼らの系譜の後継者、それが瀬戸さんではないか、とたまに思うのです。
瀬戸さんのほとばしりは、自分の古本屋を活かすことに使われます。それは棚だったり、POPだったりするのですが、いわゆる自作、いわゆるDIYとは一線を画すのです。瀬戸さんと彼らの違うところは、彼らは自分の理想を日常とは違う場所に作り上げ、瀬戸さんは古本屋という日常の中に自分の理想を作り上げていくところです。
これほどの創意工夫を持つ人間ならば、適当な美大を出て、世間の人とは解り合えない食えない芸術家として生きていてもおかしくないのですが、瀬戸さんのすごいところは、古本屋を経営し、人を雇い、きちんと毎月お金を稼ぐ実業家だというところです。瀬戸さんの方が、より強く、よりしたたかで、そして新しいのかもしれません。そんな瀬戸さんのトークショーが明日、千駄木の古書ほうろうでおこなわれます。瀬戸さんの面白さがどこまで出るのか、どこまで見ている人に伝わるのか、ナンダロウさんのお手並み拝見といきましょう。
いわゆる自作、いわゆるDIYとは一線を画す瀬戸さんの作品の数々は、古書往来座ブログ内の「台所大賞」をご覧ください。
往来座地下

「本を売るだけが古本屋の仕事じゃない!?」
広瀬洋一音羽館)×瀬戸雄史古書往来座)×南陀楼綾繁
さまざまな人たちのトークを行なう「西荻ブックマーク」。タイプの違う古本イベントを主催する「わめぞ」。古本イベントに関わるふたりと、これからの古本屋について語ります。
日にち 12月11日(金)
時間 開場18:30/開演19:00
入場料 1000円(飲み物持込み可)
※ご予約は電話かメールで。 ※当日の入場もできます。古書ほうろう 03-3824-3388
〒113-0022
東京都文京区千駄木3ー25ー5
horo@yanesen.net
(お名前、人数、当日ご連絡できる電話番号をお書き添えください)