断片日記

断片と告知

赤い風車

渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで「ロートレック・コレクション」展を見る。ロートレックの作品だけではなく、ロートレックと同じ時代に生きた人たちの作品も並ぶ。こうして並べて見てみれば、ロートレックの作品からはどこか違う匂いがする。同時代のシェレの描くポスターの、ダンスホール、酒場、劇場、からは健全で安全な娯楽の匂いがするが、ロートレックが描くポスターからは、男と女の、大人の社交場の、不健全な匂いが漂ってくる。昔観た映画「赤い風車」の中の、短躯の体で夜の社交場を徘徊するロートレックのどこか物悲しい姿を思い出し、あの体から見上げた世界を絵にすればこうなるのかと、思うのはあまりにも単純か。