断片日記

断片と告知

丸三文庫

酔っ払った瀬戸さんから、羊三ちゃんのお店に遊びに行こう、と電話があったのは数日前のこと。羊三くんは、丸三文庫の名前で古書往来座の「外市」にも参加している、古本屋を目指す「わめぞ」若手ホープのひとり。その羊三くんがいま、来月3月の店舗兼事務所の開店を目指し、早稲田の三楽書房の2階で孤軍奮闘している。店舗兼事務所になるその場所に遊びに行こう、ダンスもしよう、鍋もいいね、と浮かれた調子の瀬戸さんの声が電話の向こうから聞こえ、瀬戸さんと一緒に飲んでいるであろう王子の笑い声も、電話のさらに向こうから聞こえてくる。
スーパーでつまみの惣菜と酒を買い、早稲田の三楽書房の2階、開店準備中の「丸三文庫」へ行く。遊びに来るとは聞いていたがまさかここでパーティをするとは、と羊三くんの顔がやや固まっている。他人の家に遊びに行くのは好きなんだけど自分の家に遊びに来られると緊張する、とも言う。その気持ちすごくよくわかる、と相槌を打ちながら、問答無用とテーブルに酒とつまみを並べていく。
飲みながら食いながら、「丸三文庫」の中を眺める。思ったよりも広い。部屋の四分の一が倉庫、残りの四分の三が店舗兼事務所になっている。部屋に合わせて作られた本棚もなかなか渋くていい。棚もすでに半分以上は埋まっている。その中でも一番充実しているのは、入ってすぐ右側の壁一面の本棚で、ここは全部映画の本にしたい、と羊三くんが言う。なんで映画なの、と聞けば、映画の学校に通っていたから、とこれはそう言えば何度も聞いたような、と酒の席での話はほぼ全て忘れる私がこれ以上忘れないようにここに書いておく。
「丸三文庫」は、高田馬場駅下車、早稲田通りを早稲田大学方面へ歩き、明治通りを越え見えてくる早稲田古本街の入り口の左手、三楽書房の2階です。映画好き、映画の資料を探している方、必見のお店になりそうです。3月開店予定の「丸三文庫」をどうぞよろしく。