断片日記

断片と告知

道幅

久しぶりの電車に乗り、久しぶりの改札を抜け、久しぶりの商店街を歩く。目は、久しぶりの道、を確かめる。新しい店ができていればそうかと思い、何も変わっていなくてもそうかと思う。歩いていて無意識に顔が左を向く。目の先にあるものは犬小屋で、そこにはビーグル犬が一匹つながれていて、小屋から顔を出すその犬を見るのが好きだった、と瞬時に思い出す。体が道を覚えている。でも。この道はこんなに狭かったか。もっと広いはずだった、と歩きながら何度も思う。どこか遠くの空から花火の、どんとあがる音がする。近くでやっているはずの盆踊りには、歩いても歩いてもたどり着けない。