断片日記

断片と告知

日々の箇条書き

誕生日に、立石書店の岡島さんが、寿司を奢ってくれる。落合にある回転寿司屋。岡島さん、古書現世のパロパロ向井、丸三文庫の羊三ちゃん、こうのちゃん、とわたしがカウンターに横一列に並び、回ってくる寿司をつまむ。「家族ゲーム」みたいだな、と岡島さんが、入店前と入店後に、2回言う。羊三ちゃんがエビマヨの軍艦ばかり4皿も食べる。30皿は食う、と宣言したのに13皿しか食えないわたしに、女の子でちゅね、とエビマヨの羊三ちゃんがあざ笑う。
お会式の最終日には、みちくさ市でお馴染みのキク薬局のガレージで、太鼓を叩きながら酒を飲む。前を通り過ぎるいくつもの講の、太鼓の叩き方のそれぞれの違いを、耳で聴きわけ、手でなぞる。うまいですね、と叩きかたを誉められる。うまいのは当たり前。お会式の日の早朝、鬼子母神のすぐ横にあった鬼子母神病院で生まれたわたしは、生まれたその夜からこの音を聞いている。
丘の上の家に遊びに行く。都心から電車で30分、駅からタクシーで5分。大きなビルが建ち並ぶ駅前から、川を越えて丘をのぼると緑が増える。細い道の行き止まりにある木造の家。1階の和室の雪見障子を開けると正面に枝垂れ梅。2階のリビングの窓からは、目の前の丘の緑と、遠くの緑と、もっと遠くにどこかの町の灯りが見える。薪ストーブで暖められた部屋の空気は柔らかい。風と埃をまき散らすエアコンは便利だけれど野蛮な機械。太い薪を2本くべる。あっという間に炭になる。真っ直ぐ立つムトーさんは杉の木みたい、と言われる。でも花粉症なんですよ、と返して笑われる。
雑司ヶ谷の坂の上に越してきた友人の引越しを手伝う。坂の上に建つマンションの窓からは、緑は見えないが、新宿までの街が見渡せる。空が広い。引越しの荷物は本ばかりで、本の入ったダンボールを70箱、4階の部屋まで運ぶ。エレベーターはない。3階の踊り場でなぜかいつも気が弛む。あと1階分のダンボールがなぜか重たい。終わった後、池袋の「ふくろ」で飲み倒す。飲み代は家主の奢りだからと遠慮なく。飲み過ぎた王子が、サンダルの片方と財布をなくす。翌日にサンダルだけ見つかる。
妙な連載がはじまった。雑誌「HB」の番外編。書き言葉でなく話し言葉は、寝巻きを着たまま街に出るような。そんな気分。
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