断片日記

断片と告知

熊ぼっこ改訂版

久しぶりに「熊ぼっこ」に行きたい気分に、古書現世のパロパロ向井が付き合ってくれた。パロパロ向井が参加している、古本市の片付けが終わった、夜9時半ごろ。「熊ぼっこ」に入ると、ミャンマー出身のおねえさんが、変わらない笑顔で、奥の席どうぞ、と迎えてくれた。店内は、過剰な張り紙も、べこべこな床も、一見どこも変わらないように思えたたが、よく見れば、折りたたみのスチール椅子が置かれていたり、便所の天井から下がるハエ捕り紙が新しくなっていたりと、何かしら変わっていた。
10時過ぎ、ミャンマーのおねえさんと入れ違いに入るはずの白髪の店長は、いくら待っても現われなかった。店長の代わりに現われたのは、若い女性の店員だった。「オールナイト熊ぼっこ」の原稿を書いていた昨年の春頃は、夜行くと必ず店長の姿があった。しばらく間が空き、昨年末に訪れたときには、店長の姿はなかった。働く曜日が違うだけだとも思ったが、店長さんはお元気ですか、と確かめたかった。会計をするときに店員に聞けばいい。そう思って席を立ち、1万円札を出した後しばらくしてから出した50円玉に、慌てて電卓を叩きなおす店員を見ているうちに、聞くのを忘れた。