断片日記

断片と告知

焼きそば

おじゃまします、と靴を脱いで上がると、ホットカーペットの上で寝ていた猫たちが、どどどどど、と猫にしては重い足音をさせて逃げていく。逃げないのは首を怪我している1匹だけで、ケンカで負けてからこいつは、いつ訪ねても寝てばかりいる。触っても起きないので、頭や体を撫でてやる。首の傷が少し膿んでいて痛い。
今日の昼飯は焼きそばで、そう言えば前に訪ねたときも焼きそばだった。IWGPのマコト並にうちは焼きそばなんだよ、と言いながら食べている今日の焼きそばは、それでも前に来たときよりもだいぶ量が少ない。えらいじゃん、と感心するわたしに、だろ、と偉そうな答えが返ってくる。
寝る場所だけ空けて、部屋は本で埋まっている。売りものなのか、自分の本なのか、見分けるのが難しい。部屋の窓は夜でも昼でもいつも少しだけ開いていて、ここから猫が出入りしている。部屋の中を歩き回る猫たちも、野良なのか、飼い猫なのか、見分けるのが難しい。内と外とを忙しく行き来しながら、不法侵入者を見るような目でわたしを見る。