断片日記

断片と告知

宝くじ

駅のホームに立ったとたん電車が来た日、信号待ちのない日、仕事の電話がいくつかあった日。そんな日は駅前を通ると宝くじを買ってみようか、という気になるが買ったためしがない。一生のなかで運不運は均等にならされるとどこかで思っていて、思いがけない大きすぎる幸運は、そのあとの均等を考えると怖くなる。今まで数回しか買ったことのない宝くじで当ったためしはない。それでもそんな日は、今日買っていたら億万長者になれたかもしれない自分を思いながら宝くじ売場の前を通り過ぎ、いつもどおりの小さな運不運のなかで生きていく。