断片日記

断片と告知

すだれの空

何日か手が空くと、描きはじめるまで、時間がかかる。シートを広げ、画材を並べ、いつでも描けると白い紙を前にして、なのにそれから手が動くまでに時間がかかる。久しぶりに見る白い紙はとても怖い。窓にかかる、100円均一で買った、まばらなすだれの隙間から、細長い空をぼうっと眺める。猫の鳴き声がすれば、すだれをまくり姿を追う。今夜のつまみ用にと買った、冷蔵庫の中身が気にかかる。近くのコンビニで出す宅急便の、明日着の締め切りは今日の16時。前いたアトリエの近くには宅急便の集配所があり、19時までは大丈夫だったのに。逃避と八つ当たりが尽きると、諦めたのか手が動きだす。描き終わると、急に体が寒さを覚える。すだれの隙間の空が、もう暗い。