断片日記

断片と告知

バス停

歩いていると少し先にバス停が見えた。バス停には子どもたちが7〜8人と、付き添いの先生がふたり、バスを待っている。子供たちは、頭にそろいの黄色い帽子、背に赤や黒のランドセル、手に白い杖を持っている。彼らはこの近くの盲学校に通う、小学生たちだ。彼らの横を通り過ぎるとき、ひとりの男の子が、両手に紙を広げながらこう言った。これ、みんなで見ようよ。
これ、みんなで見ようよ。足はバス停の横を通り過ぎ、前へ前へと歩いて行くのに、頭だけがバス停に止まったまま、同じ言葉を繰り返す。なんでもない言葉に驚いた自分に、どうして驚いたのかを問いただす。言葉と白い杖が交じり合い、頭がまたバス停から歩き出し、ゆっくりと足に追いつくまで。