断片日記

断片と告知

コロナの秋 10月15日から10月21日

10月15日金曜日

晴れ。カット野菜と豚バラでケンミンの焼きビーフン。Sは往来座へ。洗濯。手帳販促用に、昨日ユザワヤで買った布にON SALEの文字を描く。慣れない素材で難しく毎年どうやってもうまくいかない。4時に往来座へ。店の奥で付録を折っているnを手伝う。手帳は、付録折り、付録の封入、帯巻き、opp入れ、を1000冊分やる。後から来ためずらしいことりのHちゃん、新宿でロメロの映画「アミューズメントパーク」を観て打ちのめされているpoさん、近所のuと手帳編集部の面々で作業。作業中、暴動島根刑務所、刑務所の中、スタローンが苦手なわたし向けのおすすめスタローン映画、の話などする。新入社員のころ町の電気屋での研修期間が一番楽しかったというpoさん。本搾り。例年通り2日間を見ていたが、封入作業は1日で終わる。Sは販促用の布にさげるために注文していた電球をつけたり消したり、新宿の世界堂へ額縁の受け取りに行ったりしている。新宿で迷い伊勢丹の前から逆方向に歩き、世界堂まで20分くらいさまよったとのこと。丸井っていっぱいあるんだよ、とS。ハナマサで買い物。夕飯は、トマト、先日のまつやの味噌鍋のスープの残りに白菜豚バラなど足した煮込みうどん。疲れてすぐ寝る。S家泊。

東京都の感染者数、57人。

 

10月16日土曜日

曇り、小雨。れんこんブロッコリーベーコントマトパスタ。相席食堂は、はるか師匠の回。クローゼットの奥にあった猫のうんこをSがかたしている。ファンクラブ会長のKさんから誕生日おめでとうがメール届く。50歳。30になったときも40になったときもとくになんの感慨もなかったが、50にしてはじめて戻れない一線を越えた気がする。例年なら今日から3日間雑司ヶ谷はお会式だったが、コロナ禍で昨年に続き中止。jさんの文章を考える。夜、家に寄り母が作ったドライカレーをもらい、往来座へ。Sは下にカラフルな電球をつけた布を店頭に設置している。リモコンで電球の色が変わるというもの。本搾り。閉店後、Sはステップ台のうえを空け、額装された帯文の色紙と手帳とnの本を配置。配置しているnを動画に撮ったりしている。ハナマサで買い物。誕生日だからとファミマでコーンチョコとハーゲンダッツのアイスをSが買ってくれる。夕飯は、トマトアスパラ、おろし豚しゃぶうどん。早めに寝る。S家泊。

東京都の感染者数、66人。

 

10月17日日曜日

雨。母が作ったドライカレー。味が濃く、これご飯がいっぱい食べられる、とS。『名画座手帳2022』発売日のため、Sはいつもより1時間以上早く家を出る。汚れている窓ガラスを拭きたいとのこと。だらだら過ごす。夜、往来座へ。saさん、めずらしいことりのHちゃん。本搾り。nとSは、手帳とnの本の発送作業をしている。宛先のテープ貼りを手伝う。Hちゃんに讃岐のり染のポシェットを誕生日プレゼントでもらう。カラフルでかわいい。ハナマサで買い物。寒いのでSが電気ストーブを出す。夕飯は、ハナマサで買ったにんにく味噌鍋の素に、小松菜豚バラ豆腐里芋を入れた鍋。スタミナつけたいから肉いっぱい入れて、とS。厚めの掛け布団も出す。早々に寝る。S家泊。

東京都の感染者数、36人。

 

10月18日月曜日

晴れ。いい天気。ナスベーコンのトマトパスタ。洗濯。Sは早めに往来座へ。たま(猫)がうんこをした掛け布団など洗濯。Sがホットカーペットを早く出したいというので、ホットカーペットにかける布を探しに、明治通りを歩いて新宿まで行く。金をおろそうと伊勢丹1階に入る三井住友銀行に行くと、向かいの丸井の1階がアップルショップになっているのに気がつく。世界堂の裏手に出来たイケアを地下から3階まで見るも、ちょうどいい大きさの布がなく、扱っている商品も少なく。いっそのこと素の布地を買えばいいのかとアルタ裏のオカダヤへ行く。アルタ裏の沖縄料理やんばるは営業しているものの、2階からうえが休業中で1階にしか明かりがない。表通りは人出はあるものの、裏手に入ると人がおらず、閉めたままの飲食店も多く、街が寂しい。オカダヤは売り場が縮小され、布地館はアルタの4、5階に移動とあるので、アルタへ行く。アルタ横のくだもの屋百果園は休業中で、おりたシャッターはグラフティだらけ。何年ぶりかで入ったアルタは、1階は改装中なのかシャッターだらけ。わたしが学生だったころ、ここの4階か5階には古着や軍モノ雑貨の店、中華雑貨を扱う大中か宇宙百貨があり、サブカルっぽい香りに惹かれてよく訪れていたが、いまはその気配もない。4、5階のオカダヤを見るもこちらもちょうどいいサイズがなく、そのまま高島屋のハンズ、南館のニトリを見、結局ニトリで布を買う。昨年買ったニトリの布は洗うとすぐ縮んだが今年のはどうだろうか。歩くのが面倒になり、新宿駅南口から山手線で池袋まで。三省堂ジュンク堂で立ち読みし、ジュンク堂1階にあったフェスティバル・トーキョーの一環のガリ版印刷所のスペースでリソグラフのZINEを何枚かもらう。往来座へ。asさん、めずらしいことりのHちゃん、印刷会社のふたり。本搾り。nの母親から電話が来、宮崎なまりで返すnがとても新鮮。宮崎弁って方言じゃないんだよね、イントネーションなんだよね、とn。装画を描いた『古本マニア採集帖』の情報がネットにあがりうれしい。発売は11月末。

古本マニア採集帖 | 皓星社(こうせいしゃ) 図書出版とデータベース

ハナマサで買い物。夕飯は、ハナマサで買った豆乳しょうが鍋の素に、白菜豚バラなどを入れたもの。M家泊。

東京都の感染者数、29人。

 

10月19日火曜日

曇り、小雨。寒い。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。激混み。あまったカレーもらう。終えて、大倉で買い物してからS家へ。猫たちがホットカーペットのうえで寝ている。しばらくして、車で古書会館と郵便局に行っていたSが戻る。Sは腹が減ったと言いながら冷凍のうどんをチンし、麺つゆと玉子ををかけて食べ、ユーチューブでさだまさしの「償い」をかけながらブログを書いている。夕方、Sが映画「復讐するは我にあり」のロケ地になった場所を確認したいというので、目白台まで散歩。マイバス斜め前の目白台児童遊園、とその前のバス停。いまは映画に出てきた鰻屋もなく、ブランコもなく、柵の形もかわったが、遊園内の木の形や道の形状はほぼそのまま、をスマホで撮っていた写真を見ながら確認する。マイバスが休業中だったのでコープで缶ビール買って飲みながら、薬罐(夜寒)坂を通って帰る。坂の途中にあったプレートによると、名前の由来はヤカンのお化けが出たとかなんとか。寂しい坂だったらしい。この坂をはさんで、大町桂月と窪田空穂が住んでいたと書かれている。夕飯は、トマトブロッコリー、冷奴、チンしたかぼちゃと茄子にカレーとチーズをのせてトースターで焼いたもの。明日金沢から来るKさんのために映画「さらば愛しき大地」を観ないといけない、とSが言い張るので観る。こないだSと金沢に行った際、Kさんがその日の午前中に観、シャブ中役の根津甚八が腕に本当に注射を射っていた、秋吉久美子がかわいい、と熱弁していた映画。根津甚八のブログを読むと、撮影の前に医者に相談しながらブドウ糖で注射を射つ練習をしていたとある。シャブでだめになっていく男の目の先に、風でゆれる木々や稲穂が描かれているのが印象的。映画のタイトルから受ける感じと中身がだいぶ違うなとも思うが、観終わってみれば揺れる田園風景にそれもそうかもなーとも思う。M家泊。

東京都の感染者数、29人。

 

10月20日水曜日

晴れ。いい天気。納豆ご飯。食堂アルバイトへ。終えて、往来座へ。夕方、KさんとカメラマンのTさんが往来座に初来店。塩っぱいお土産と甘いお土産もらう。昼に本郷のもり川という学生向きの食堂に入ったら量が多くていまだに腹がいっぱいというふたり。Kさんは腰痛がひどく、腰に100円ショップで買った紐を巻き、立ち上がるときなど紐を引っ張って腰の骨を調節、ばらばらな背骨をはめる、とのこと。東京に行くと思っただけで具合が悪くなるんです、とKさん。nの本を買ってくれる。次の本の取材で一緒に来たカメラマンのTさんは、Kさんのことが大好き。首から下げた中国製だという動画カメラと、ごっついカメラでずっとKさんの横顔などを撮っている。9時の新幹線で帰るというので、ちょっと一杯と近くの雲吉へ。生ビール、グレープフルーツサワー、鴨スモークのサラダ、だし巻き卵、タコの唐揚げ。KさんとTさんは年齢は4つ違い。Tさんの髪が黒々しているからかとても還暦超えとは見えず。ふたりの出会いはKさんが十月社にいたときからで、もう長い付き合い。TさんはKさんがする話、文学や本や映画の周りのことが本当に好きで、それを書いて残して欲しいとお願いするが、自分は書く人ではないとずっと断られ続けているとのとのこと。反対にKさんはSに向かって書くように出しましょうよと言うが、渋い返事をもらっている。Kさんが次に出す本の資料に銭湯の記述があるというので、その部分のコピーした紙をもらう。「さらば愛しき大地」を観た話から、Kさんがすすめる映画「独立愚連隊」など岡本喜八の映画についてのいろいろ。Kさんの造本には波があり、凝ったものを作りたいときと、さらっとしたものを作りたいときがあり、いまはまた凝った本周期に入った、『龍潭譚』もそのひとつと。赤い紙に黒い活版文字で刷ったときにはほとんど文字が読めなかった、などトライアンドエラーの繰り返しだが、トライをやめないところがKさんらしくかっこいい。Kさんはグレープフルーツサワーを2杯、Tさんは金沢から車で帰るというので烏龍茶を2杯飲む。やめてよ、最後のお別れじゃないんだから、と渋るKさんTさんを池袋駅の改札まで送る。M家泊。

東京都の感染者数、41人。

 

10月21日木曜日

曇り。寒い。納豆ご飯。昨晩、Kさんにもらったコピーを読み、出てくるいまはなき銭湯の場所はどの辺だろうと検索していると、赤猫さんという方のブログにたどり着く。1960年からの東京の銭湯の変換をグーグルマップで作っておられ、ひとつひとつの銭湯の名前の変換から、書誌情報まで詳しく書かれていて驚く。コピーにあった銭湯の場所も、わたしが小さいときにはあったが名前を忘れてしまった銭湯の数々も、マップを見れば一目瞭然。すごいすごいとマップを見続けていると時間を忘れ遅刻しそうになる。

東京23区の銭湯の変遷 | 赤猫丸平の片付かない部屋

慌てて食堂アルバイトへ。終えて、往来座へ。Sは先に車で椎名町のT先生の家へ。わたしは後から歩いて椎名町まで行く。T先生宅では学生たちとSが、大学の文化祭に出す古本屋台のために本の選定をしている。学祭は昨年は中止、今年は学内の人のみで開催すると、つい先日知らされたんですよー、と学生のひとりYくん。売り物にならない本は往来座が引き取り、まだ売れそうな本は学祭用にダンボールに詰め直す。自分はいかに算数ができなかったか、中学のときに数学はもう捨てた、ノートを提出したら3くれるっていうから出した、と不得意な勉強のあれこれをつい最近の武勇伝として語る彼らを見、大学生とはこんなに華奢だったっけと思う。50になった自分とは、まったく別の生きものなんだなとはっきりわかる。Sは一度車を置きに雑司ヶ谷に戻り、わたしは先にT先生と学生たちとで近くの博多屋へ。最初に、生ビールを飲む人ー、と声をかけると、手をあげたのはわたしとT先生のふたりのみ。学生たちはソフトドリンク、カシスウーロン、グレープフルーツサワーを、弱いんですと言いながら1杯の半分から2杯くらいしか飲まない。後から来たSが生ビールばっかり4杯飲んでいる。串カツ、やきとん、マカロニサラダ、ポテトサラダ。ふたり以上の人と飲むの久しぶりと学生たち。好きなことしかしてこなかった、だから自分は売れなかったけど、ムトーさんもそうじゃない?世の中に貸し借りがあるとは思わないでしょ、とT先生に言われる。T先生と学生たちと椎名町駅前まで歩く。駅前の100円ショップは近くに大きなダイソーができたので、閉店セール中で10円ショップになっている。駅前で別れ、学生たちは電車で、わたしとSは歩きで帰る。大江戸で回転寿司を少しつまみ、往来座に寄り、ローソン100で買い物し、本搾り飲みながらS家に帰る。Sは牛乳に抹茶の粉末を溶かしたものをチンして飲んでいる。一口もらうとほんのり甘くてうまい。S家泊。

東京都の感染者数、36人。