両国へ。江戸東京博物館の「文豪・夏目漱石-そのこころとまなざし-」展へ。ものすごい混んでいる。おば様の頭越しに直筆原稿を見、おじ様の肩越しに直筆手紙を見る。「道草」とか「硝子戸の中」とか橋口五葉のデザインした「吾輩ハ猫デアル」とか、昔の装丁本がすごくいい。中でも、漱石が自らデザインした「心」は一番いい。うまくはないけれどへんてこな味がある漱石の絵に心惹かれる。会場の外に出るとグッズ売り場があって、五葉の「吾輩ハ猫デアル」Tシャツ、ポストカードなどが売られているのだけれど、その中で会場限定「漱石の付け髭」というのが目をひいた。付ければ誰でも夏目漱石になれる。面白いけど4200円は高い。
江戸博6階の常設展示も見る。前来た時にはなかった「大名籠」が会場隅っこの畳の上に置いある。誰でも自由に入っていいらしい。靴を脱いで入ってみる。意外と広い。足はまっすぐ伸ばせないものの胡座は余裕でかける。左肘のあたりには肘掛までついている。快適。ひとりくつろいでいると、見ていたおじ様たちから「担ぎましょうか?」と声がかかる。とりあえず微笑んでおく。常設展示には他にも体験コーナーがあって、千両箱を持ってみよう(14キロ)とか、肥桶けを担いでみよう(26キロ)とか、なかなか楽しい。
両国から川沿いを歩き厩橋を渡って蔵前のアノニマ・スタジオ内ショップ「in-kyo」を覗く。微妙に歪んでいる木のスプーンが気になる。対称のものよりも、非対称のもの、正確なものよりも、ゆがんでいるもの、に目がいく。手に取ってみると思ったよりも軽い。心惹かれるけれど、貧乏なのでそっと棚に戻す。
なるべく車の通らない裏道をぶらぶらと上野まで散歩する。隅田川周辺の町並みは、歩いていて楽しい。