断片日記

断片と告知

萌え論

コミケ会場でお会いした久世番子さんの同人誌「何の話をしてたっけ。」を読む。この中に出てくる作品「スペシャルイシュー旧宮家」。いわゆるひとつの「貴族萌え」ですね、と番子さんが書かれているように、「旧宮家萌え」な話であります。明治20年生まれの仲良し3人組、東久邇宮稔彦朝香宮鳩彦、北白川宮成久、の子どもの頃から青年時代までが、史実を交えたフィクションで描かれています。萌え、というのは伝染するのかもしれません。この作品を読んでいると、番子さんの、萌え、に引きずられそうになります。短い作品なのですが、読み終わった頃には、旧宮家ちょっといいかも、と思ってしまう自分がいます。この作品の他に「そでカバーっていいですよね?」とまた違う萌えの話も出てきます。こちらは、ワイシャツにネクタイのメガネ男子がそでカバーをつけて仕事する姿に萌える、というもの。これも読んでいると、いいかも、と思ってしまう自分がいます。この2作品を読んで、「萌え」とは、新しい価値観の創造なのだということに、はじめて気がつかされました。見過ごしがちなものごとも、「萌え」という視点で捕らえると、また違う世界が見えてくる。それを作品として描き、その世界に読んだ人を引きずりこめることができたなら、それは新しい世界の創造と同じなのかもしれません。